糖尿病の治療を受けている方にとって、最も避けたい合併症の一つが「透析」ではないでしょうか。腎臓は一度悪くなると元に戻りにくい臓器だからこそ、「どの薬が一番自分の腎臓を守ってくれるのか」という問いは、非常に切実なものです。
2026年1月20日、権威ある医学誌(JAMA Internal Medicine)に、その答えのヒントとなる重要なデータが発表されました。現在、糖尿病治療の主役となっている2つの薬、「SGLT2阻害薬」と「GLP-1受容体作動薬」を直接比べた大規模な調査結果です。
「腎臓を守る力」で一歩リードしたのはどちらか
デンマークで行われた約5万5000人を対象とした5年間の追跡調査で、驚くべき差が出ました。
腎臓の機能が悪化するリスクをより抑えたのは「SGLT2阻害薬」でした。
具体的には、腎機能がガクンと落ちたり、透析が必要な状態になったりするリスクが、GLP-1受容体作動薬を使っているグループよりも19%も低かったのです。
なぜ、この「19%」があなたにとって大切なのか
19%と聞くと小さな差に感じるかもしれませんが、何年も飲み続ける薬においては、この積み重ねが「10年後に透析が必要になるかどうか」の分かれ道になります。
僕たち医師がこのデータを重視するのは、薬の使い分けに明確な根拠ができるからです。
- SGLT2阻害薬(フォシーガ、ジャディアンスなど): 「腎臓のフィルターを守る力」が非常に強い。すでに蛋白尿が出ている方や、腎臓への不安がある方には、まず第一に検討すべき「盾」となります。
- GLP-1受容体作動薬(オゼンピック、マンジャロなど): 体重を減らす力が強く、脳梗塞や心筋梗塞を防ぐ力に長けています。
つまり、「体重も気になるけれど、今はとにかく腎臓の数値を守りたい」という局面では、SGLT2阻害薬を選ぶことが、2026年現在の医学において最も論理的な選択だと言えます。
薬は「ただ飲む」のではなく「戦略的に選ぶ」時代
糖尿病の薬は、単に「血糖値を下げるためのもの」から、「心臓や腎臓の寿命を延ばすためのもの」へと進化しました。
もしあなたが今、糖尿病の治療を受けているなら、一度自分の処方箋を見てみてください。その薬は、あなたの10年後の腎臓を守るための「盾」になっていますか?
「自分の腎臓の状態なら、どちらのタイプが合っているのか」 「今の薬に、腎臓を守る効果は期待できるのか」
不安があれば、いつでも相談してください。数値だけを見て薬を出すのではなく、あなたの将来のQOL(生活の質)を逆算して、今の1錠を一緒に選んでいきましょう。



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